バンディング問題について

 ・・・少ない野鳥をむやみに殺すな・虐めるな・・・
というお話。あくまでも私個人の見解であります。

1.足環のついた鳥を見つけたら
 「標識を付けた野鳥を見たら報告してください。」と言われています。これは、国(環境省)が山階鳥類研究所に委託して、野鳥に標識を付け、回収して調査する標識調査のことです。
 かすみ網で野鳥を捕らえ標識を付けることをバンディングと言います。
 標識をつけた鳥が回収されるケースは、@死体A怪我をしてB調査のかすみ網にかかり再回収される、三っのケースです。
 「標識をつけた鳥を発見した報告(回収報告といいます)は、鳥類の渡りや生活、鳥の一生、死因などについて、多くの正確な知識をもたらしてくれます。」・・・とされています。

2.バンディング問題を知ったきっかけ
 私が個人的に好きな野鳥写真家に和田剛一氏という方がいます。和田氏の写真は何かほのぼのとしたものを感じます。優しく、楽しい写真が多いのです。
 この優しさは何処から出てくるのかと思っていました。その一端を感じる写真に出会いました。和田氏のホームページ「田舎暮らしの日々」の「9.27」にアップされたカマキリの写真です。カマキリがこんなに優しい顔・色っぽい顔をするものでしょうか。 やはりプロのカメラマンは違います。生き物を見る目・優しさ・感性の違いが写真に現れるのです。
和田カメラマンのホームページで初めてバンディング問題を知りました。2005年の5月ごろだったでしょうか。
 その時は、単に「こんな問題もあるのか」という感じでした。後で、「知らない事がどれほど恥ずかしい事か」と認識する事となります。

3.問題となる事実・疑問
 かすみ網で捕らえられた野鳥は、外されてから標識を付けて放される間に、網が絡む・強いストレスを受けて、命を落とすことがあります。標識を付けられ、放された後で金輪を外そうとして、あるいは金輪が何かに絡まり、足を失ったり、命を失う野鳥も居るはずです。放鳥される前に死亡する件数は、バンディングをしている方は知っていますが、秘密にされ情報公開されていません。バンディング後に死亡した鳥は、死体が見つからない限り、嫌な思いをした後での無駄死になります。
 この調査は、生態調査、地球規模の渡りの調査という大義名分により実施されています。この調査は、結果も余り公開されて居らず、成果が出ているかどうかも分かりません。標識を付けて回収した、回収率はわずか0.28%となります。・・・・  後掲「バンディング問題の総括」より
 回収率の低さから、とても成果が出ているとは思えません。この程度の回収率ではとても研究成果を裏付ける統計データーになりません。では、何のためにこのバンディングは実施されているのでしょうか
 成果がでないのなら、調査の名の下に、野鳥が虐殺、虐待されているのではないのでしょうか?
と思わざるを得ない?いう疑問です。

4.バンディングが問題として顕在化
 この和田氏のホームページのバンディング問題は、2005年8月より内容が激しく変化します。カワセミ日記の中島さんの参戦(・・・この表現が最も的確だと思います。)により、「バンディングが問題として顕在化」してきます。
 当初、バンディングをしている人の中での特定の人、特定の問題としてスタートしました。多くの問題事例が発掘される中で、悪質バンダー1個人の問題から、システムの問題、国を含む全体の問題にまで拡大されてきました。一部教育問題にまで及ぶ事になります
 正確を期すために申し添えますが、バンディングがすべて悪いと言っているわけではありません。改善すべき点が多いという事です。端的に私の考えを言うと、「・・・少ない野鳥をむやみに殺すな・虐めるな」・・・という事です。

詳しい内容は下記のリンクページを御覧下さい。
バンディング問題の解説
バンディング問題への改善活動の経過
バンディング問題の総括

5.バンディング問題との変な因縁
 私がバンディングを問題として捉えたのは、和田氏のホームページで、カワセミ2羽のくちばしを持ってぶら下げている写真を見たときです。思わず怒りがこみ上げてきました。このとき以降は、和田氏と中島氏のホームページを行き来する毎日となりました。まさに感情論からのスタートです。
 次のきっかけは北海道への探鳥旅行です。2005年6月に北海道にシマアオジとノゴマを見に行きました。ノゴマには逢えたのですが、シマアオジには逢えませんでした。帰りの空港で飛行機の中で読む本として「北海道 島の野鳥」という本が気に入り、購入して読みながら帰りました。皮肉なことに、この事もまたまたバンディング問題にぶつかっていくのです。和田氏のホームページで、北海道のシマアオジは絶滅寸前で20羽ぐらいしか居ないことを知らされました。
 「北海道 島の野鳥」という本は、バンディング問題で、「渡り途中の疲労した渡り鳥を、バンディングで強いストレスを与えている。」として離島でのバンディング中止を論じられている、「焼尻島・利尻島のバンディング」により記述された本でした。こんな本買うのではなかったと反省しました。なるほど、バンディングで掴まえて写真を撮ればきれいに写真が写るはず。私のようにデジスコで遠くからブレブレ写真を写している人とは雲泥の差。
 変な因縁を感じた次第です。この因縁は、後述する、バンディングされた野鳥の回収にまでつながります。

6.バンディングには事前検討を(成果・安全担保論)
 和田氏はバンディング問題はスズメ目の小鳥に影響が多く、中止するよう主張されています。私はどちらかといえば、全ての野鳥に適用すべき問題だと思っています。
事前検討・実施評価
 バンディング実施前には大小にかかわらず、影響を予想し、調査の要不要。成果の有無の事前評価を実施する。調査の実施時は、第3者が実施状況をチェック・評価をする。調査する場合、調査実施者による野鳥への安全性の担保、安全性の証明が必要だと思います。これらのバンディングシステムを作り、それを守れなければ、バンディングを止めるべきです。

7.標識を付けた鳥の回収の経験
野鳥の写真をデジスコで写していると標識を付けた野鳥が写っていることがあります。不思議な因縁で2005年は当たり年で、デジスコを通じてバンディングとかかわることになりました。
下記の表が回収実績です。

   回    収    内    容 回収・撮影月 標識を付けた場所 写真位置
 1.通信機を付けたカワウの死体の発見。 2005年 1月 東  京 上 左
 2.フラッグと足環を付けたハマシギの発見。 2005年 5月 アラスカ 上 右
 3.足環を付けたカワウの発見。 2005年10月 琵琶湖 下 左
 4.フラッグと足環を付けたトウネンの発見。 2005年11月 千  葉 下 右


 カワウは左足に識別用のビニールの足輪をつけています。右足は金輪です。このビニールの足輪が大きいので識別文字もデジスコで写すだけで確認できます。
 ハマシギ・トウネンは左足に2色のフラッグ。右足に金輪をつけています。2色のフラッグでバンディング場所を識別します。
 この標識で確認できる方法は、かすみ網による再回収より、野鳥にストレスを与えない良い方法だとは思います。但し、足輪をつけるときの問題点は変わりません。もう一つ、ビニールの足輪・フラッグが放鳥後どのような問題を起こすのか未解明です。

 最初のころは、標識を付けた野鳥を見たら報告してください。という子供のころからの刷り込みにより、1のカワウ2のハマシギを見つけたときに、「すわ一大事」とすぐご注進をしました。
 しかし、3のカワウの時は悩みました。バンディングに反対でありながら、バンディングに協力するのはどうも・・・。というのが本音です。ただ標識を付けられた野鳥が、捕まったとき、恐ろしく・嫌な思いをさせられたのだから、その思いを生かすためにも、その成果が出る可能性があるなら、と考え報告することにしました。

 バンディング問題は、データーを取れるだけの回収率が無いことから、研究成果が出てない為、さらにバンディンク実施数を上げようという、悪循環・足輪つけ競争に陥っているような気がします。成果が出ないのを承知の上で、バンダーが自分の知識を増やす・ステータスを上げるためにやってしているのではないか。と感じます(真面目にきちんとやっている方には失礼な言い方で申し訳ないですが)。
 カワウの問題は、漁業被害の問題も絡んでいる事、回収データーも多く、研究成果も出ているのだろうと思います。現実にカワウの死体の件については通信機を背負っていたこともあり、解剖して死因を調査し、結果について情報公開もしてくれました。こちらは対応もきちんとしており、安心できる結果でした。

3.足環を付けたカワウの発見。についてはバンディンクをした人は大阪のW氏の関係者です。「鳥小屋」に回収情報と回収者名を乗せたいとの事でしたが、名前を載せるのは断りました。大阪のW氏の「鳥小屋」に名前を載せるために協力しているのではありません。かわいそうなカワウのために報告しているのです。
 次の、4.フラッグと足環を付けたトウネンの発見。については悲しい事実があります。

8.ぴょんひょん跳ねる悲しいトウネン
 この野鳥を見たときは驚きました。片足でぴょんぴょん跳ねて餌を取っています。下の足に白いフラグのようなものが見えます。叉運悪く、シギのバンディングを見つけてしまったかな?と嫌な予感。ハマシギぐらいの大きさの鳥は写真に写し、自宅でパソコンで拡大してみないと確認できません。自宅で確認したところ、左足の下は白・上は青。右足に金輪。間違いなくバンディングされたシギです。
 このシギも一応回収連絡をしました。千葉でバンディングしたトウネンのため、簡単な返信連絡だけでした。このとき撮影した写真です。かなり距離があり無理して撮影しましたが腫れた足とフラッグが見れると思います。
 ただこのトウネンについては問題があります。
左足がすべて残っているのに、左足が使えないのです。左足の上部の青いフラッグが腫れ上がった左足に食い込んで止ってしまっているのが分かります。左足が動かないか、痛くて干潟につけないのだと思います。
 現在は左足は全部残っています。しかし、このトウネンは近い将来左足を無くすか、命を落とす事になると思います。
 左足が使えない原因は、バンディングのフラッグか、釣り糸でも絡んでいるのか、どこかで怪我をしたのか、原因は分かりません。なぜか「バンディングのフラッグのせいでないか」と思うのは私がひがみ根性だからでしょうか。

 同じトウネンを前と後ろか写したものです。フラグをつけた左足を御覧下さい。左足が異常に腫れ上がり青いフラッグが食い込んでいるのが分かります。フラグの位置・足の太さをハマシギの写真と比較してください。

トウネンはせわしなく動き回り、チョコチョコ素早く動くシギです。片足でぴょんぴょん跳ねるだけでも異常です。
ほとんどの仲間はもう旅立っています。今年は寒い日本で越冬するのでしょうか。

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