国道357号線の横須賀市への延長問題
(野島水路の干潟への影響・・・・・・野島干潟の危機?)


 個人的な見解ですが、野島を頼って渡ってくる、渡り鳥のためにホームページに意見を乗せたいと思います。


1.野島干潟の危機・・・国道357号線の延長計画

  まず、この情報については 「 タウンニュース金沢区版 」 2008年10月16日発行NO112号 をご一読ください。

 国道357号線(千葉市から横浜市金沢区の八景島まで完成している道路)の横須賀市への延長計画が、具体化されることになりました。
 現在、慢性的
?に渋滞している、国道16号の渋滞解消や緊急時や災害発生時への対応に、国道375号線の延長は必要と言う理由であるようです。
 この道路計画の道路は、横浜市の八景島から野島水路を通り、横須賀市の夏島の道路に接続するようです。
 この道路を建設することが、税金の無駄遣いにならないのであれば、議論をする必要性はないのです。

 しかし、一番心配なのは、道路が野島水路を通るということです。
 野島水路は、横浜市で唯一、渡り鳥のシギ・チドリが渡りの時期に立ち寄ってくれる場所なのです。

2.野島干潟の現状
 さて、野島水路はどこに有るか。更に野島干潟とはどこのこと。という説明からはじめます。野島水路は、野島公園の東側、青少年研修センター・キャンプ場と横須賀市夏島の工場地帯との間にある小さな水路のことです。

 野島水路の幅は、一番狭い日産自動車側で約60M、一番広いところ追浜工業のあたりが約150Mです。
 野島干潟とは、野島水路の汐が引くと表れる砂浜のことです。皆さんが潮干狩りをする砂浜です。野島の干潟は小さな干潟なのです。

 干潟の出ている地図はないか、と探してみましたが、そんな変な地図があるわけもなく、やむを得ず手書きで作成しました。精度はかなり落ちますが、干潟の説明をしない訳にはいきませんので、我慢してご覧下さい。

 「野島周辺干潟図」をご覧下さい。野島水路の中に、アズキ色で塗ってある部分が干潟です。実際より少し面積が少ないと思います。何せ目で目測して作成した図ですので、精度については、ごかんべんを。

①満潮時と干潮時の状態
 大潮の時に見ると良く分かりますが、かなり大きな干潟が現れます。季節により、潮の干満に差があります。春の大潮の時に見ると広大な砂浜です。春以外の季節では小さめになっています。

②干潟の形状
 干潟の大きさを野島側と対岸の横須賀市夏島・金沢区六浦側で比較してみると、圧倒的に夏島・六浦側の方が面積が広いのです。
 干潟は、一見すると黒い色をしていますので、泥でできているように見えますが、干潟を歩いてみると、砂地でしっかりとしていることが分かります。

③干潟と生き物
 野島の干潟には魚の稚魚、ハゼ、チチブ、シマイサキ、セイゴ、クロダイ、アカエイ、アミメハギなどが見ることができます。
 引き潮になると、カニが沢山現れます。シギ・チドリ等の野鳥の最大事の関心事は、エサになる、ゴカイ・カニ・エビ類です。

④干潟を利用する野鳥達
 野島干潟を生活の糧にしている野鳥がどれぐらいいるのか、説明できる資料はないかと思い、いろいろ考え・探してみました。結局、私が、野島に野鳥を見に行った時に記録していた「フィールドノート」のデーターしかありませんでした。

 私の、フィールドノートの記録期間は、2004年3月25日~2008年10月21日の間、4年7ヶ月弱の250日の内容です。
 フィールドノートの記録内容を簡単にまとめた「野島の野鳥データー」をご覧下さい。

 このデータから予想すると、野島の干潟で見ることができる、言い換えれば、野島干潟を生活の糧にしている野鳥は、年間49種類ぐらいです。
 これらの鳥のうち、野島の干潟で簡単に見ることができて、横浜市の他の場所で見れない野鳥がいます。ハマシギメダイチドリキアシシギがそれらの野鳥です。これ以外に、たまにしか見れないのですが、まれに見れる鳥が、チュウシャクシギソリハシシギキョウジョシギ等です。種類は少ないとはいえ、これだけ簡単にシギ・チドリが見易いフィールドは、他に余りありません。

 東京湾でシギ・チドリが見れるところは、細かいことは分かりませんが、谷津干潟・三番瀬・盤津干潟がシギ・チドリの中継地として最も規模が大きいところです。
 神奈川県下でシギ・チドリが見れる場所は、多摩川河口、三浦半島江奈湾、野島、馬入川河口の4ヶ所の干潟ぐらいだと思います。
 このように、野島の干潟は、彼らシギ・チドリにとって非常に重要な場所なのです。


3.干潟を利用している野鳥の現状・・・野島干潟と渡り鳥

 さて、手書きの汚い「野島周辺干潟図」を再びご覧下さい。渡り鳥のシギ・チドリは、4月末ごろに野島に来ます。野島の干潟の中で、彼らが舞い降りて、エサを探す場所はほとんど決まっています。地図に示す、a・b・c・dの4ヶ所となります。彼らが好む順番もa・b→c→dの順です。

 エサとなるゴカイやカニが多いことで順番が決まっています。もう一つの条件が、できるだけ人間から離れて、エサが安心して獲れるところです。このために、abエサを獲っている所に、人間が近寄るとcdに飛んで逃げていきます。

 ただの干潟ということであるなら、野島以外にも、海の公園には大きな砂浜(干潟)があります。しかし、海の公園には野島の鳥たちは行かないようです。エサとなるゴカイやカニが少ないのと、潮干狩りの人が余りにも多すぎるため寄り着かないようです。

 彼ら渡り鳥にとって、野島水路の干潟は、他に代わるところがない、最も重要な場所なのです。

 ちなみに、野島に来ているハマシギの1羽は、アラスカから渡ってきて多摩川河口・谷津干潟・北海道春国岱を行き来していることが分かっています。

4.野島干潟の危機・・・工事で破壊される生態系
 一番心配な点は、現在の国道357号線が、八景島から海の上を高架橋で渡り、野島水路を通って、既設道路に接地するという道路ルートです。
  「横須賀市の議員さんのページ」添付資料の「位置図」もご参考までご覧下さい

 道路構造は上下2車線、22m道路巾の道路建設となるようです。一番狭いところで60M、一番広いところで150Mの幅の野島水路に、22m道路の道路を造る形となります。
 さて、22m道路ということで、歩道部分は、橋脚の欄干は、どのようになっているのか、高架道路部分は、何mの構造になり、それを支える橋脚の基礎構造は、どれぐらいの大きさになるのでしょうか
?。又、橋脚の本数がいくつで、どこに橋脚を立てるのであろうか?。野島水路に、橋脚を立てたら、出入りする海水の流れを止めてしまうのでは?。なんと、このへんの資料が公開されていないのです。

 橋脚の基礎の大きさは、干潟部分に占める基礎部分の大きさであり、その占有面積が干潟の破壊される部分に一致することになります。
 橋脚基礎部分の大きさが、直接的に干潟が破壊される大きさです。
 それだけではなく、工事をする場合は、資材置場や橋脚直接部分を堀削するために、その周辺の堀削工事をおこないます。となれば、現在の干潟部分のほとんどを破壊することになるのではないでしょうか?

 更に、永い工事期間により、長期にわたり、生き物の生息環境が破壊される。又、工事完了時以降、生態系が元の生息環境に戻るのに必要な復元期間がどれほどかかるのか。果たして、以前と同じ生態系に戻るのか、さえ分からないのです。

 例えば、毎年野島の干潟に渡ってくる渡り鳥が、工事により野島を避け、工事完了時には、渡り鳥が1羽も野島に来なくなることもありえるのです。
 渡り鳥も人間と同じで、前年に寄ったところに翌年再びやってくる確率が高いのです。再びやってきたとき、工事のためエサがとれないとなれば、翌年から来なくなる可能性もあるのです。

5.今意見を言わないと
 細かな構造について、まだ決まっていないのに何故問題にするのか。細かいことが決まってから行政に変更をお願いすればいいのでは。という考え方もあると思います。
 しかし、行政が都市計画で決定したことは、細かなことが決まってから意見を言っても、ほとんど間に合いません。というのは、道路ルート、道路構造が決まってしまうと、その時点で意見を述べ、変更をお願いしても、行政は「意見を聞いたふりをする」だけでよほどのことがない限り、計画変更をしないからです。

6.希望すること・・・道路ルートの変更、野島水路を避けて直接夏島へ。
 ・国道357号線を野島水路上に建設するのを中止してもらいたい。
 ・国道357号線計画ルートを八景島→海上→夏島工業用地、又は海側を通るルートに変更してもらいたい。



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